“大切な日だから、ね?”
有名どころの神様が地付きでおいでの土地は避けたはずのバカンスだったが、
何と日本では“八百万の神”とか“ツクモガミ”という年経た器物が転変した神が
そこここにたんといると判り、
お米にも8人の神が宿るとかで、却って面倒だった…というエピソードは、
コミクス特典の特別篇だから浚わなくてもいいのかな?(おいおい)
何はともあれ、大掃除を頑張った大晦日が去ってゆき、
厳かに、だが、それらしい鳴り物はないままの静粛に、
新しい年がやって来て。
「……。」
パチッと目が覚めて、
ああそうだ、今日はお正月なんだという現状把握が頭に浮かぶのにワンテンポ。
大掃除に手古摺ったわけじゃあないが、
年越しそばを自己流で作ってみたり、除夜の鐘をつきに行ったり、
ちょっぴり夜更かししたせいか、
眼はぱっちり開いたが、意識のほうはやや遅れて覚醒したのだろう。
そんなこんな思いつつ、まじまじと見やるのは、
自分を掻い込んでいる懐ろの、
柔らかな甘い匂いとやさしい暖かさの主のお顔で。
夜更かしの末にばったりと寝入ったので、
このまま起き出し、初ジョギングに出かけてもいいコンディションではあるのだが。(…)
それじゃああんまりつれないかもねぇとさすがに感じてのこと。
イエスが自然に目が覚めないか、
屈託のない、でも惚れ惚れしちゃう静謐な寝顔をついつい見やるブッダであり。
「…。///////」
寝巻代わりのトレーナーの中、
懐で少し斜めになってるらしい例の指輪がほんわり暖かくなる。
ほんの一週間前はイエスのお誕生日で、
世界中が“クリスマス”と祝った中、
最も盛大なのに、実は何の日か知らない人も最も多かろうこの国で、
他でもないご本人を祝うことが出来る優越感と。
ああでもでも何を贈ったらいいものか、今年も一応、暖かいモヘアで編み物はした。
幅広なヘアバンドのような耳あてで、
茨の冠をしたまま器用にもニット帽をかぶってるくらいなので、
装着に支障はなかろうと踏んだが、それだけというのも何だか心許なく。
何がいいかなと考え続けて、
しまいには当日の晩さん用のクリームシチューを煮込みつつ、
まだまだ思案が続いた結果、
『あの、あのね? イエス。』
今年も助っ人要請があった雑貨屋さんのバイトをこなし、
クリスマスのお祝いとしてのシクラメンの鉢植えを抱えて帰ってきた彼をこたつにつかせ。
クリスマスだけどバースデイケーキを真ん中に、
年齢そのままだと針供養の豆腐みたいになってしまうので、(大笑)
2016というナンバーろうそくを立てて、ハッピーバースデイを唄って差し上げ。
さてのそれから、
手編みのブツをラッピングした包みを差し出しつつ、でもねあのねともじもじしてから、
『こ、今年の贈り物は、私自身っていうのはどうかなぁ。////////』
棒読みより質が悪い、酔っ払ってでもいるかのような抑揚になったので、
もしかして悪ふざけに聞こえてないかな。
でもでも、色んなクリスマスのシチュエーションものを観たり読んだりしてみたけど、
必ずこのセリフがあったし…と。
男女じゃないといけないのかな、あっはっはと笑ってくれたら重畳なんだけどと、
そんな心づもりだったにしては、真っ赤な顔はどうにも真顔のままで。
お向かいに座るイエスが、意味を把握し損ねているものか、一瞬ぽかんとしてしまったほど。
ただ、
『な…。』
何それと笑うでなし、何を言い出すのと案じるでなし、
イエスが見せた反応はといえば。
『何て軽はずみなことを云うかな、キミは。』
ちょっぴり口許尖らせて、
さっき自分でろうそくを吹き消したケーキの真上へ身を乗り出すと、
『キミほど尊い人が、自分を物みたいに言っちゃあいけないよ?』
『…はい?』
いぃい? お腹が減った旅人へ自分を食べてと差し出したウサギさんの話は聞いたけど、
少なくとも私といるうちは、そんなこと言っちゃあいけないんだからね。
『そりゃあ、
いつだって欲しいなって思ってた人が言っても説得力はないかもだけど。』
『………え?/////////』
いやあの、今のは無しっと、
今度はイエスが真っ赤になってしまったやり取りをふと思い出し、
じわじわと頬やお耳を赤らめてしまう釈迦牟尼様だったようで。
何はともあれ、今年もいい年になりますように…。
〜Fine〜 17.01.01
*あんまり関係のない話ですが、
とある企業さんのファンコミュで、
クリスマスケーキにろうそく立てますか?
という質問書き込みがあったんですよね。
ウチは何の疑いもなく、同封されてるカラーろうそくを立ててましたが、
イエス様のお誕生日を祝うならいざ知らず、
そういえばちょっと妙な行いなんだな、と気づかされまして。
それでも我が家では、
ホールケーキといえばろうそく灯して
一番小さい子がふうと吹き消してます、相変わらず。
*で、年が明けてからクリスマスの話ですいません。
とにかく忙しかった師走だったもので…。
めーるふぉーむvv


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